ojihall


Concert  コンサート情報

王子ホール委嘱作品 ギリシャ劇「エレクトラ3部作」<アトレウス家の崩壊と再生>
第2話 エレクトラ

2004年715日(木)、16日(金) 19:00開演 17日(土)、18日(日) 15:00開演

全席指定 6,000円 各日開演30分前より、作曲者自身による15分程度のプレ・トークがあります

エレクトラ第1話「姉イピゲネイアの犠牲」より

笠松泰洋(指揮)
麻実れい(語り)
飯田みち代(ソプラノ)
YOUYA(ダンス)
室屋光一郎(ヴァイオリン)
大平 清(ドタール) 
安田謙一郎(チェロ)
山田武彦(ピアノ)
高子由佳(クラリネット)
藤田 旬(ファゴット)
齋藤 順(ベース)
萓谷亮一(パーカッション)

「エレクトラ3部作」は、「オレステス3部作」などとしてギリシャ悲劇に何度となくうたわれたアトレウス家を襲うすさまじい愛憎劇である。子殺し、不義密通、妻による夫の謀殺、母殺し、復讐に次ぐ復讐…。すべてはトロイア戦争に端を発し、大義名分の裏に潜む金銀財宝、女への際限のない欲望が生み出した、おぞましい代価を後世に知らしめる壮大な叙事詩。王子ホールはこれを「人の世が持つ不変のテーマ」として取り上げ、作曲家笠松泰洋に委嘱。3年にわたり、3部作を上演する。

 

第2話『エレクトラ』では、この3部作中のヤマ場とも言えるドラマを、親子の葛藤を軸に描く。R.シュトラウスのオペラの印象などから、エレクトラもその母クリュタイムネストラもおどろおどろしいキャラクターと思われがちだが、この母と娘は実はごく普通の人間だったのではないだろうか。状況さえ違ったならば、愛情深い家庭的な女性として生きたのでは…。これまでのエレクトラ像を覆す舞台を、現在最高のキャスティングで創造する。

 

作曲・台本構成 笠松泰洋
台本・作詞 岡本おさみ
演出・振付 YOUYA

プログラム

世界で最初にあなたが体験する、ライブハウス型オペラ

音楽、演劇、舞踊…人類の歴史の黎明期には、これらはひとつのものでした。すなわち人々が「場」と「体験」を共有する、コミュニティに欠かせないイベントとしての婚姻や葬送、祝祭などです。しかし時代のとともにジャンルが分かれ、厚い壁に隔てられるようになりました。そんななか、今一度それぞれを近づかせたい。そんな思いをホールと分かち合い、『ライブハウス型オペラ』というかたちにするために、各界から才能豊かなアーティストが集いました――

《物語》
第1話から7年の時が経つ。夫アガメムノンを殺害した女王クリュタイムネストラは、夫殺しを共謀した愛人のアイギストスと共にアルゴスを統治している。長男オレステスは身の安全の為に遠方に姿を隠し、次女エレクトラは、父アガメムノンを深く敬愛していた為に今だ母を許せず、母とアイギストスを呪い、弟オレステスがいつの日か帰ってきてこの二人を殺害し、父の復讐を遂げることのみを願う日々を過ごしている。そんなある日、弟が逃れていたポーキスから使者が来て、「オレステスが死んだ」と告げる。アイギストスとクリュタイムネストラは心の棘が取れ、喜び安心する。絶望するエレクトラの前に若い男の使者が現れる。眼前の乞食同然の女性がエレクトラであるとわかると、男は自分がオレステスであることを告げる。全てはアイギストスを安心させる為に仕組んだ事。狂喜するエレクトラ。二人は母とアイギストスを殺し復讐を成し遂げる。しかしその瞬間から姉と弟は母殺しの罪を背負い、オレステスの目に復讐の女神が見えるようになる。

プロフィール
笠松 泰洋(作曲・台本構成・指揮)

笠松 泰洋(作曲・台本構成・指揮)

1960年福井県生まれ。東京大学文学部美学芸術学科卒業。作曲を三善 晃、ピアノを山根美代子に師事。演劇、TVドラマ、映画等の音楽制作・監督を数多く行っており、特に演出家蜷川幸雄、ダンス・カンパニーのH・アール・カオスを率いる大島早紀子等から厚い信頼を得ている。また、現代音楽作品を発表する機会も多く、2000年には「弦楽四重奏曲 第4番」がウィーン弦楽四重奏団により初演され、称賛を受けた。主な作品として、弦楽四重奏曲1・4番、朗読とオーケストラのための「アガメムノンとカッサンドラ」、コントラバスとウィンドアンサンブルのためのコンチェルトグロッソ「オケアノスの海」などがある他、演出家・蜷川幸雄の厚い信頼で、95年「ハムレット」(銀座セゾン劇場)、03年 「ペリクリーズ」、04年1月「タイタス・アンドロニカス」(彩の国さいたま芸術劇場)を作曲。03年7月には3年連続上演されるギリシャ劇に基づく室内オペラ「エレクトラ3部作」の第1部「姉イピゲネイアの犠牲」を王子ホールの委嘱にて作曲、王子ホールのほか、大阪・名古屋・福井にて上演された。芸術のジャンルを越えた新時代の音楽家として、今後の活動にますます期待が寄せられている。

麻実 れい(語り)

麻実れい(語り)

1970年宝塚歌劇団入団。大型新人として注目され、75年「ベルサイユのばら」アンドレ役に抜擢される。80年雪組トップスターとなり、「風と共に去りぬ」「うたかたの恋」などで一時代を築き、85年退団。その後、「シカゴ」のヴェルマ・ケリーを皮切りに「マクベス」マクベス夫人、「双頭の鷲」王妃、「メアリー・ステュアート」メアリー・ステュアート、「the play with music and songs ハムレット」ハムレット、「蜘蛛女のキス」蜘蛛女/オーロラ、「二十世紀」マーガレット・バーク・ホワイト、「グリークス」アンドロマケ、「サラ」サラ・ベルナール、「オイディプス王」イオカステなど、ストレートプレイからミュージカルまで幅広いジャンルの舞台で活躍している。読売演劇大賞最優秀女優賞、菊田一夫演劇賞、紀伊國屋演劇賞、毎日芸術賞など、数々の演劇賞を受賞。山田洋次監督作品「十五才―学校Ⅳ」に映画初出演、日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞している。本年3月「AOI」六条、「桜の園」ラネーフスカヤで第54回芸術選奨文部化学大臣賞を受賞。

飯田 みち代(ソプラノ)

飯田みち代(ソプラノ)

京都大学教育学部教育心理学科卒業。1990年日本イタリア声楽コンコルソ金賞他受賞多数。「ヘンゼルとグレーテル」グレーテル役でオペラデビュー。「椿姫」ヴィオレッタ、「リゴレット」ジルダ、「ランメルモールのルチア」ルチア、「愛の妙薬」アディーナ、「セヴィリアの理髪師」ロジーナ、「こうもり」ロザリンデ、「ラ・ボエーム」ミミ、「夕鶴」つう、「魔笛」夜の女王等で出演。2002年二期会「椿姫」フローラで出演。「第9」や「メサイア」、「天地創造」など交響曲、宗教曲などのソリストを務め、日本だけでなくイタリア、ドイツ、オーストリアにおいてもコンサートやリサイタルなどに出演。幅広く活躍している。03年11月、日生劇場・二期会共催公演「ルル」にての好演は魅惑のディーバへの期待に十二分に答えた。ウィーン在住。

YOUYA(演出・振付・ダンス)

YOUYA(演出・振付・ダンス)

1967年生まれ。ジャズダンスを川崎悦子、バレエを小林ひとみに師事。主な出演作品には98年ダンス・ショウ「Yellow Angel」(東京厚生年金会館)、2000年、01年川崎悦子プロデュース「MIRROR」、「MIRROR2」、01年「ジャンコクトー堕天使の恋」(シアタードラマシティ)、02年笠松泰洋が作曲・音楽監督を担当したダンスミュージカル「スターダスト in 上海」(シアタードラマシティ、青山劇場ほか)、03年ダンスパフォーマンス「DECADANCE」(アートスフィア)などがある。主な振り付け作品には「アニー」「MIRROR」「スターダスト in 上海」、2003年青山ダンシングスクエア公演「a spring night」(アートスフィア)、「DECADAMCE」などがある。主な演出・振付作品には01年「a silhouette」(スペースゼロ)などがある独特の個性と、オリジナリティーあふれるダンスで、舞台だけでなくCM、コンサートでも幅広く活躍している。

岡本おさみ(台本・作詞)

岡本おさみ(台本・作詞)

フォークソングの黎明期に泉谷しげる、吉田拓郎らと出会い、放送作家から作詞家へ。「旅の宿」、「祭りのあと」、「黒いカバン」等数々のヒット作を生む。近年、芝居の作詞・訳詞にも参加。2003年12月に「襟裳岬」、「落陽」等の名作を福山雅治ら13人のアーティストがカバーしたアコースティック・アルバムをリリース、好評を得ている。

【アンサンブル・メンバー】
室屋光一郎(ヴァイオリン) 

室屋光一郎(ヴァイオリン)

東京芸術大学付属高校から同大学音楽学部卒業。浦川宜也、前橋汀子等に師事。現在ライブ、スタジオに大活躍。

大平 清(ドタール)    常味裕司にウードを師事。アラブ・トルコの古典音楽を学んだ後、トルコ、ギリシャで各種民族楽器の演奏法を学ぶ。

大平 清(ドタール)

常味裕司にウードを師事。アラブ・トルコの古典音楽を学んだ後、トルコ、ギリシャで各種民族楽器の演奏法を学ぶ。

山田武彦(ピアノ)

山田武彦(ピアノ)

東京芸術大学大学院にて作曲を学び、パリ音楽院ピアノ伴奏科を首席で卒業。作曲家、ピアニストの顔を持つ。

高子由佳(クラリネット)

高子由佳(クラリネット)

東京芸術大学を首席で卒業。文化庁芸術家在外研究員として渡独。ドイツ国家ソリスト資格を最優秀で取る。

藤田 旬(ファゴット)

藤田 旬(ファゴット)

国立カールスルーエ音楽大学在学中に、リューネブルク市立劇場管弦楽団に入団。現在は帰国して活動中。

齋藤 順(ベース)

齋藤 順(ベース)

東京芸術大学器楽科卒業。古澤 巌、葉加瀬太郎とヴィンヤード・シアターを結成。現在多彩なユニットに参加。

萱谷亮一(パーカッション)

萱谷亮一(パーカッション)

東京芸術大学器楽科卒業。現在ジャンルを越えた多数のセッションで、オールラウンドな打楽器奏者として活躍。