山田武彦(ピアノ)

出演回数 14回

王子ホール開館25周年、おめでとうございます。いつも上品でお洒落な雰囲気の、そして素晴らしい響きの、すべての音楽家にとって大切な王子ホールには常に音楽をとことん楽しみ尽くそうとする目のキラキラとした、それでいて粋なお客様が集います。 声楽家、器楽奏者、あるいはジャンルの垣根を越えた様々な表現者とご一緒して公演機会をいただいておりますが、開演直前までホールスタッフの方々に舞台袖で温かく励まされて気持ちを高めたのちにステージに一歩足を踏み出した時の何とも言えないワクワクとした空気感は、その瞬間に今地球上で最も新しい演目の上演に自分が参加するのだ、という思いを強く抱かせます。

常に質の高い、そのタイミングでの旬な演奏家の方の公演が繰り広げられているのは言うまでもないのですが、王子ホール主導で行なわれる、今までにやったことのない公演の企画作りに演奏者として参加できる事の喜びは言葉で表しようがありません。新作オペラ、取り組みが初となる曲目とそれに関わる初共演者との出会い、お客様にとことんまで楽しんでいただく事がメインの公演など、予め決まった答えのない新しい演目への取り組み、そしてその成功のためだったらと、リハーサルの段階からホールの方が何も惜しまずに、創り出される準備を開演寸前まで楽しみながら対応してくださる時間をいつも体験致します。銀座が東京の文化の拠点であるのはもちろんのこと、昔からそこが職人の仕事場であったことを思わせるような「ものをつくる」一等地がここにある気がします。

新しいものを生み、それを目の当たりにするお客様が見守り続けるうちにむしろエイジングが進み熟成されるような、いつも刺激的な僕の大好きなホール、これからも常に目が離せません。

2003年7月 「王子ホール委嘱作品 『エレクトラ3部作』第1話〈アトレウス家の崩壊と再生〉(作曲:笠松泰洋)」。3年がかりのホールオペラ企画の演奏面を支えた。

2015年4月17日 「G-Lounge#20 波多野睦美、バルバラを歌う」。フランスを代表するシャンソン歌手バルバラの生涯を日本語で歌い語る一夜(訳詞:藤本優子)。このときは編曲も担当。

2017年1月8日 「MAROワールド Vol.30 “シャトー・ド・マロへの招待状”」。サン=サーンスの「動物の謝肉祭」ではピアノを下手に演奏するために一工夫。