鈴木優人(チェンバロ/ピアノ)

出演回数 7回

銀座のホールの奇跡
王子ホールの開館25周年を心よりお慶び申し上げます。銀座の一等地にありながら、媚びることなく真摯に音楽と向かい合う王子ホールの姿勢に教えられつつ、これまでの音楽家人生を歩んで来られたことを誇らしく、また光栄に思います。 私がこれまで体験してきた王子ホールの舞台は、全くもって予測不能なことばかりでした。「MARO WORLD」では、まるで男子校の文化祭のごとく本当はしてはいけないことを次々と繰り広げ、一方で波多野睦美さんとは日本歌曲の豊かな世界を再確認しました。藤木大地さんとは、ヴィヴァルディからヘンデルまで演奏することになり「(ヴェネツィアからロンドンまで走っていた)シンプロン・オリエント急行みたいですね」と言ったら、それがそのまま公演のタイトルに (笑)。アンサンブル・ジェネシスの10周年をお祝いしたのもこの公演の舞台裏でした。ほかにも様々な思い出が詰まっている王子ホールですが、初めてこのホールに聴衆として訪れた時のことが忘れられません。それはトン・コープマン氏のチェンバロリサイタルでした。前の晩遅くまで(必死で!?)うちの音楽室で練習していたトンが、舞台で華麗に演奏するのを父の隣で聴いて以来、このホールでバッハを演奏することを夢見てきました。 どんな素晴らしい音楽も、ふさわしい「場」がなければそれを味わうことができません。これからもみんなに愛されながら、奇跡が起こるホールとしてさらに発展されますよう、陰ながらお祈り申し上げます。

2007年10月25日 王子ホール開館15周年の記念日にお披露目となったMAROカンパニーによる「ブランデンブルク協奏曲全曲演奏会」。。

2014年11月6日 波多野睦美の人気シリーズ「歌曲の変容」では比較的珍しいピアノ伴奏を披露。

2015年11月12日 カウンターテナー藤木大地との共演ではチェンバロとオルガンを弾き分け。10周年を迎えたアンサンブル・ジェネシスのメンバーとともに。