クリスティアン・ゲルハーヘル(バリトン)

出演回数 8回

おめでとうございます!
王子ホールは世界でも最高の室内楽ホールのひとつであり、私が一番好きなホールのひとつです。私はピアノのゲロルト・フーバーと共に重要なドイツの歌曲集を演奏するために招いていただきました。そのこと自体がたいへんな名誉です。クラシックに通暁したお客様を前に、非常に親密な空間、そして輝かしくも虚飾がなく、それでいて誤魔化しのきかない音響のなかで演奏するのは、いつもスリリングな経験であり、毎回が挑戦でした。私が思うに、このホールの音響では表現がそのままかたちになるのです。驚くほどの知識と集中力を持ち合わせたお客様を前にすると、演者としてはおじけづいてしまいそうにもなります。ですが善意にあふれる聴き手の皆さんから応援されていると実感でき、頑張れるのです。 王子ホールは東京の中心にあるパフォーミングアーツの聖地であり、我々の共有財産を象徴する場所のひとつといえるでしょう。その共有財産とは共同体のそれであり、私もその一部である共同体の財産、それは「芸術は我々全員の命に意味があるという事実を現出させたものである」という思想です。少なくともそれに代わる何かを人類が見つけるまでは、王子ホールにもその思想を体現し続けてほしいと願っています!

2008年2月3日 シューベルト三大歌曲集全曲演奏会。1日おきに3回の公演を行い、最終日は「白鳥の歌」を披露。

2014年1月8日 シューベルト三大歌曲、マーラの二夜公演に続くシューマン歌曲集の夕べ。「リーダークライス」や「詩人の恋」を含む珠玉のドイツリートを聞かせてくれた。