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Concert  コンサート情報

キアラ・バンキーニ&アンサンブル415
feat. マリア・クリスティーナ・キール

2010年311日(木) 19:00開演

全席指定 6,000


キアラ・バンキーニ(音楽監督/ヴァイオリン)
エヴァ・ボーリ(ヴァイオリン)
ペーテル・バルチ(ヴィオラ)
ガエータノ・ナジッロ(チェロ)
サラ・ベニーチ(チェロ)
マリア・クリスティーナ・キール(ソプラノ)

今回演奏されるのはボッケリーニ『スターバト・マーテル』(1781年)の初版です。この作品は、ソプラノと、ボッケリーニが考案したといわれているチェロ2台を使った弦楽五重奏のために書かれました。声は楽器群の響きと完全に一体化し、チェロが進んでそのソリストの役を務めます。ボッケリーニは敬虔で真摯な人物として定評がありました。それゆえこの作品が歌詞の痛ましさを尊重しつつ、あるときは悲壮に、あるときは感動的に、あるときは荘厳にと表情を変えていくのはごく自然なことでしょう。長く来日が待たれた古楽の先駆者キアラ・バンキーニとアンサンブル415、そしてキールの心にしみわたる美声によるボッケリーニの「スターバト・マーテル」が実現されます。お聴き逃しなく。

 

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プログラム

ボッケリーニ:五重奏曲 ト短調 Op.29-6
         :五重奏曲 ハ短調 Op.31-4

********** 休憩 **********

ボッケリーニ:スターバト・マーテル (1781年初版)
         御母は悲しみつつ/悲しみにくれるその魂を/悲しみ深き御母は/
         キリストの御母のかくも悩みたまえるを見て/人びとの罪のため/
         愛の泉なる御母よ/傷つけられしあなたの御子の/おお、童貞のうちいともすぐれたる童貞/
         キリストの死を負わせ/御子の傷もてわれを傷つけ/肉身が死すとき

プロフィール

アンサンブル415

1981年、ジュネーヴにおいてキアラ・バンキーニによって創立され、2001年からフランシュ=コンテを本拠とする。名前はバロック音楽の演奏におけるピッチの一つ(A=415)に由来する。最初のメンバーはフランソワ・フェルナンデス、エンリーコ・ガッティ、エミーリオ・モレーノ、ファビオ・ビオンディらであったが、20年を経た現在は、若いヴァイオリニストたちの参加を得て活動を展開している。ダヴィッド・プランティエ、ステファニー・フィステル、エヴァ・ボーリ、レイラ・シャイエがアンサンブル創立当初の熱意を受け継ぐ。世界各地の主要な音楽祭やコンサートホールに招かれ、コンサートとレコーディングは評論家からも聴衆からも高い評価を受けているが、それだけでなく、17~18世紀の作品の解釈と演奏の発展と、音楽愛好家に対して提示するレパートリーの拡大とに努力を続けている。有名な作曲家とともにジュゼッペ・ヴァレンティーニ、ジョヴァンニ・ボノンチーニといった作曲家を再発見してレコーディングやコンサートに取り上げており、これは質の向上、レパートリーの発見と刷新、そして芸術的完成をめざした根気強い研究の積み重ねによるものである。アンサンブル415は優秀なバロック・ヴァイオリンとヴィオラの奏者を中心に、イタリア独特のカラーに彩られたコンティヌオ・グループが脇を固めている。快い音のハーモニー、高度なテクニックに支えられた正確なタッチはメンバー同士をつなぐ芸術的共感と、第1ヴァイオリニストで芸術監督でもあるキアラ・バンキーニのほとばしるような閃きによって生み出されたものである。13~40人の室内オーケストラ編成に拡大して、サンマルティーニやボッケリーニのシンフォニー、コレッリやムファットのコンチェルト・グロッソなどを演奏したり、コレッリのソナタ作品5やヴィヴァルディのトリオ・ソナタからボッケリーニやモーツァルトの五重奏曲と六重奏曲、そしてJ.S.バッハやハイドンの室内楽も演奏する。ボッケリーニの五重奏曲作品39、60、63、六重奏曲作品23から3曲を、そしてアニエス・メロンをソリストに迎えてソプラノと弦楽五重奏のために書かれたスターバト・マーテルの最初稿をレコーディングしている。レコーディング歴は長く、約20枚のCDのほとんどが国際的な専門誌から賞を贈られた。01年からパリのジグザグ・テリトワール・レーベルと組み、その共同作業から生まれたジュゼッペ・ヴァレンティーニのコンチェルティのCDは評論家と一般大衆あげての絶賛を博し、02年、"ディアパゾン・ドール"と"ディス・ド・レペルトワール"を受賞した。サブレ・シュル・サルト、ディエップ、オー・ジュラ音楽祭、ユゼー、リヨン、リール、ナント、ポントワーズ、サンミシェル・アン・ティエラーシュなどでの古楽フェスティバルに毎回出演し、ナントの「ラ・フォル・ジュルネ」やシュレズネス劇場のシーズンにも招かれている。コレッリの管弦楽曲のほか、ヴィヴァルディ、ヴァレンティーニ、ムファット、ボノンチーニ、ポルポラ、ジェミニアーニの作品がプログラムに登場する。室内楽ではモーツァルトとハイドンの三重奏曲、モーツァルトの五重奏曲(クラリネット奏者ジル・トメと共演)、コレッリとボンポルティの「ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ」などを演奏する。アンサンブル415の共演者にはクリストフ・コワン、ロエル・ディルティアン、クリスティアーヌ・ジャコテ、ルネ・ヤーコプス、マリア・クリスティーナ・キール、アニエス・メロン、ギ・ド・メイ、アンドレアス・ショル、ジュリアーノ・カルミニョーラ、ヴェセリーナ・カサローヴァ、ラース・ウルリク・モルテンセン、バルトルド・クイケンらがいる。初来日。

キアラ・バンキーニ(音楽監督/ヴァイオリン)

スイスのルガーノに生まれる。世界をリードするバロック・ヴァイオリニストの一人と認められ、主要な古楽フェスティバルに毎回招かれている。ジュネーヴ音楽院(コルラード・ロマーノのクラス)とハーグ音楽院で学び、優秀な成績で卒業後、シャーンドル・ヴェグとシギスヴァルト・クイケンの指導下で研鑽を積んだ。その後、ラ・プティット・バンド、エスペリオンXX、ラ・シャペル・ロワイヤルなどのアンサンブルに加わり、国際的ソリストとして頭角を現した。ジュネーヴ古楽研究所でバロック・ヴァイオリンを教えた後、バーゼル・スコラ・カントールムのバロック・ヴァイオリン教授に任じられた。エレーヌ・シュミットらとともに若い才能あるヴァイオリニストの世代を担う。ヨーロッパ各地、南アフリカ、オーストラリア、アメリカでもマスタークラスを行っている。エラート、ハルモニアムンディ・フランス、ジグザグ・テリトワール(2002年以降)からCDが発売されている。1981年に独自の室内オーケストラ「アンサンブル415」を創立して以来、アンサンブルはコンサートやレコーディングで国際的な活動を展開している。キアラ・バンキーニは室内楽演奏にも熱意をもって取り組み、特にモーツァルトのヴァイオリンのためのソナタ、コレッリの作品5、ボッケリーニの五重奏、六重奏、スターバト・マーテルのCDは注目を浴びている。ダーバン(南アフリカ)、アデレード(オーストラリア)、ポルトガル、ラトヴィアなどのオーケストラやフランスのペイ・ド・サヴォア・オーケストラを指揮して、バロックとクラシックのレパートリーを演奏している。07年にはアンドレアス・ショルをソリストに、スコットランド室内管弦楽団を指揮した。しばしば各地の国際コンクールに審査員として招かれ、バロック・ヴァイオリン・ソリストのコンクール、「コンコルソ・ボンポルティ」の審査員長を務めたこともある。初来日。

マリア・クリスティーナ・キール(ソプラノ)

アルゼンチンに生まれ、声楽とヴァイオリンを習った。1983年、ヨーロッパに渡り、バーゼル・スコラ・カントールムでルネ・ヤーコプスの指導下にバロック音楽を専門的に勉強した。同時にエヴァ・クラズナイの歌唱法コースを受講した。間違いなく今日のバロック音楽界をリードする声楽家の一人であり、グスタフ・レオンハルト、ルネ・ヤーコプス、ジョルディ・サバール、フィリップ・ヘレヴェッヘ、フランス・ブリュッヘン、コンラート・ユングヘーネルらの指揮者、コンチェルト・ヴォカーレ、ラ・フェニーチェ、カントゥス・ケルン、エスペリオンXX、コンチェルト・ケルン、アンサンブル415などのオーケストラやアンサンブルと共演している。バロック初期の音楽を中心に活動し、「ラ・コロンビーナ」「ダエダルス」「コンチェルト・ソアーヴェ」というアンサンブルを結成に参加した。88年、インスブルックでルネ・ヤーコプスの指揮するカヴァッリの歌劇「ジャゾーネ」に出演してオペラ・デビューした。「ポッペーアの戴冠」「オロンテーア」「ダイドーとエネアス」(以上ルネ・ヤーコプス指揮)、ガリアーノの「ダフネ」、モンテヴェルディの「オルフェーオ」「ウリッセの帰郷」(以上ガブリエル・ガルリード指揮)に出演し、ヴィヴァルディの「テンペのドリッロ」(指揮ジルベール・ベッツィーナ)とプロヴェンツァーレの「妻の奴隷」(指揮トーニ・フローリオ)のタイトルロールを歌った。カルデーラのオラトリオ「キリストの足下にひざまずくマッダレーナ」のマグダラのマリア、モンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」(いずれもルネ・ヤーコプス指揮)は大きな反響を呼んだ。